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懸垂線と放物線と円弧

弛み
私たちは、屋根に弛みがある場合、太糸やボールチェーンを使用して施工を行うのですが、
ボールチェーン   施工_1
ボールチェーン        施工の様子
太糸やボールチェーンを張った時に出来る曲線が何なのかを調べてみると、懸垂線(カケナリー曲線)になるようなので、これを計算式で求めることが出来ないものかやってみました。いろんな方に教えて頂きながら、懸垂線の方程式に辿り着く過程で、放物線が懸垂線の近似値を示すことも教わりました。これらの公式をせっせとExcelに入力し座標を求めました。円弧の座標については、CADで作図して寸法取りして一覧表を作ってみました。
懸垂線  放物線  懸垂線・放物線・円弧の座標
CADで屋根の曲線を円弧で作図され建った建物は、実際に太糸やボールチェーンを張ってみると破風尻から軒先にかけて野地が高いことが多かったのですが、一覧表で比較してみると同じような状況になっているのがわかります。
今後いくつかのパターンに分けて、懸垂線と放物線の座標と実際に太糸やボールチェーンを張った位置の検証を計画しています。

雨漏り

ここ数日天気が続いていたのですが、また今日は雨が降っています。
県内でも雨による災害が発生しております。

さて、この雨で3件ほど雨漏りの連絡がありました。
現場へ行ってみると3件中2件は谷からの雨漏りでした。
しかもこの2件、昨年も谷からの雨漏りで応急処置をした現場でした。
谷腐食1  谷腐食2
コーキングをして穴を塞いだすぐ脇に新しい穴が開いています。コーキングによる応急処置なので、いずれまた穴が開くことは説明しておいたのですが、1年でこんなに大きな穴が開くとは…

もう1軒は、公共の建物で23年度は予算がないので、最低限の補修でとりあえず漏らないようにとゆうことで、
谷腐食4
パッチを当てていたのですが、
谷腐食3
別の場所に穴が開いてはお手上げです。
今年度は谷板金を交換の予定でしたが、災害復旧で予算があやしくなったので、『今年度も応急処置で…』とゆうことになりました。本格補修のときは、ぜひ谷平瓦を。穴が開く心配が無くなります。

残り1軒は、隅棟からの雨漏りです。

基本勾配計算

基本勾配計算表
(この勾配計算表は真隅にのみ対応しています。)

Excelでこんな計算表を作ってみました。
最近勾配の話をしていると、「勾配の計算は苦手!」「計算が苦手!」との声が多かったので、誰でも簡単に勾配の計算が出来ないかと思い、極簡単な表にしてみました。
表、右手の赤字の部分に平勾配を入力すると、隅勾配、隅山勾配(笠勾配)を計算します。
興味のある方はコメントを残していただければ、後日対応させていただきます。
尚、コメントの内容について公開を希望されない方は、その旨お書き添えください。

又、この他にも角度を含めた基本勾配計算表(真隅)、振れ隅の勾配計算表、放物線の計算表、懸垂線の計算表、等も試みております。

基本勾配計算_2

基本勾配角度計算表_1
入力した勾配を元に計算しています。
角度計算を追加してみました。


基本勾配角度計算表_2
こちらは、入力した角度を元に計算しています。

基本勾配計算式
このように計算しました。
勾配を角度に変換するのは、Excelの関数を利用してます。

振れ隅基本勾配計算_3

最近は、雨の日が多かったので作りかけていた『振れ隅基本勾配計算表』を仕上げてみました。

振れ隅基本勾配角度計算表_1高勾配側の角度を 31° 低勾配側の角度を 26°で入力して計算した結果です。

振れ隅基本勾配角度計算表_2今度は入力方法を勾配で入力して計算!

振れ隅基本勾配角度計算表_3別シートで表示内容を計算しています。

この計算表はExcelを使用して作ったのですが、『こんなのが出来たらいいな...』と思って作っていくと、なんとなくそれらしく出来るところはExcelの便利なところだと思います。
どこかのサイトにUpできたらとも思うのですが...
今のところ使ってみたい方はメールにて対応させていただきます。

基本勾配計算_4

基本勾配計算にコメント頂いた方々、ありがとうございます。
計算表希望の方には、送付させて頂きました。
又、コメント頂いたのですが返信先アドレスがなく、返事を出せない方もおられました。
申し訳ありませんm(_ _)m

さて今後の記事の予定ですが、

正・側面イメージ

この架台の描き方を勉強してみたいと思います。

架台図描き方手順_01

架台図の描き方手順ですが、まず瓦を描く前に、架台自体の図面展開をやってみたいと思います。
架台図面_01
この架台図の展開で図面展開の基本的な考え方を押さえたいと思います。
瓦にはRがあったり地葺の上に棟が乗るなど架台本体より図面が多少複雑になるので、シンプルな形から入った方が展開の考え方が解り易いと思います。

架台の条件として
屋根勾配を4寸5分勾配
隅先~破風外面までの寸法を1510mm
隅先~壁面までの寸法を745mmとし、伏図を描きました。
架台図面_02

それから、隅先を展開基点として平断面を起こします。
架台図面_03

この時、平断面の基準は瓦座上端となります。
瓦座高さは、48mmとし、野地板厚みは12mm、垂木高さは45mmで作図してます。
架台瓦座 架台図面_04



架台図描き方手順_02

架台図描き方手順_01のつづきです。

架台図面_05
平断面を描くと瓦座と野地の接点が明確になるので伏図へ瓦座と野地の接点を描き込むことができます。
つづけて、右側面図を展開してみましょう。
伏図展開基点より左方向の任意の位置に展開基準を作ります。この位置は、後で展開する隅側面図を考慮しておくと良いでしょう。
架台図面_01
この伏図左方向の展開基点より垂直線を引き、平断面図の瓦座上端より水平線を引いた交点を右側面図の展開基準とし、瓦座や野地線を描き込みます。垂木上端・下端も平断面図より高さを求め描き込みます。
架台図面_06

右側面図と同様に伏図展開基点より垂直に線を引き、側面図瓦座上端の水平線上に正面図の展開基準をとり正面図を起こします。正面図の野地線は伏図や側面図の壁際の接点及び野地勾配線の交点より求めます。
架台図面_07

架台図描き方手順_03

隅側面図を起こします。

架台図面_08
伏図の隅稜線より垂直に隅側面図を展開

架台図面_09
伏図隅先からの垂直線上の任意の位置に隅側面図展開起点をとり、隅稜線と平行に陸墨(水平線)を引き、

架台図面_10
隅勾配線(3寸1分8厘勾配)を描きます。隅勾配線の引き出し位置は、架台図面_11左側面図の瓦座上端から垂直に下りたせんと野地上端の延長線こ交点までの距離Aを求め、隅側面図へ写し隅勾配線を引く。
架台図面_12
隅勾配は作図により求め勾配計算で確認しておくと良い。4.5勾配計算

架台図面_12-1  架台図面_12-2
この時、隅勾配線と壁際の接点から陸墨までの距離と、左側面図の野地上端線と壁際接点から陸墨までの距離は等しくなる。

隅側面図に瓦座を描き込むために瓦座下端位置、瓦座上端と野地上端の接点を求める。
架台図面_13  架台図面_14
正面図よりそれぞれの位置を伏図へ写し、隅側面図へ展開する。展開した線イ'と隅勾配線の交点が瓦座上端と隅野地上端の接点となり、線ア'と展開起点よりB寸法取った交点が瓦座下端位置となる。
この時、隅側面図において陸墨と瓦座前面のなす角が規矩術では投げ墨と呼ばれる。
架台図面_14-1  架台図面_14-2

桟瓦谷平2列

5年前に施工した桟瓦の谷平納まりです。
谷平2列納まり
流れの短い側に14㎡分の雨水、流れの長い側は25㎡分の雨水が集まるので、谷平を2列にして納めました。
地葺が桟瓦だったので、谷平も桟瓦納めとしました。
流れの長い側に桟瓦の懐が向かないように、左の谷には左桟を使用して右の谷には普通の桟瓦を使用しました。
谷平2列納まり2
反り屋根どうしがぶつかる屋根なので屋根勾配の違いで谷もカーブしています。
谷出口では谷の左右の屋根勾配は1度の違いなのですが、谷尻では左右の屋根勾配の差が13度ありました。
谷断面図_01 谷断面図_02
その為、左桟・右桟ともに尻撥ねの瓦が必要になりました。

谷出口の下は、大屋根の雨受けの必要もあり、下屋根は軒先まで板金処理をしています。
雨落ち板金

谷部分の野地下地は谷中央部分を水平になるように作りました。〈上記図面参照〉
谷下地 谷板金2列用

谷平の緊結はホルマル被服銅線1.6㎜とコーキングの点付で行いました。谷平緊結

近年ではゲリラ豪雨が各地域でおこっており雨漏り確認の為、大雨の後には現場調査に訪れておりますが現在のところ雨漏りは発生しておりません。







プロフィール

さすらいの絵描き

Author:さすらいの絵描き
  ~伝統の美と匠の心~                 
古来より守り伝えられた瓦の美と技術を守りつつ、現代の建築技術・工法に適した施工を行い、瓦の美と、秘められた知恵を極限まで追求し、日本の自然・文化と共に生きる伝統を伝えます。

画像をクリックしていただくと、大きいサイズで見ることが出来ます。

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