屋根の形状1
屋根は、雨、雪、風や太陽の日射をさえぎる建物上部の覆いであり、構造上、最も狭い意味では屋根葺き仕上げの部分をいい、ついで屋根野地を含める(通常は垂木の上の部分を指す)場合もある。最も広い意味では小屋組まで含めていうことがあります。
私は、屋根が建築物の美しさを構成する主要な部分であると考えます。気候風土、建築物の格式等により種々の屋根の形状があります。一般木造建築の屋根の形状には、切妻屋根、寄棟屋根、入母屋屋根等が代表的なものです。
屋根を形づくる骨組みを小屋または小屋組といい、小屋組に垂木および野地板を取り付け、その上に下葺材を張り瓦が葺かれる。野地板の周辺には、瓦の納まりや屋根の化粧のために広小舞、鼻隠し、破風板等が取り付けられます。
さて今回は屋根の形状の一つ『切妻屋根』についてです。
切妻屋根とは
棟を境に左右に二つの長方形斜面を取り付けた形の屋根であり、この面を平(ひら)といい、この勾配を平(ひら)勾配(こうばい)といいます。棟に直角の壁面を妻(つま)といい、平の妻側を螻羽(けらば)と呼びます。
柱芯より破風板までの部分を傍(そば)軒(のき)といい、流れの先端の部分を軒先(のきさき)といいます。

左の図は屋根伏図で、右が屋根の部分名称です。
片流れ屋根、招き屋根、越し屋根、腰折れ屋根等も、切妻系の屋根になります。
切妻屋根の形状は単純な形であり、使用する瓦の種類も他の屋根に比べて少なく、雨仕舞いのし易い屋根と言えます。

私は、屋根が建築物の美しさを構成する主要な部分であると考えます。気候風土、建築物の格式等により種々の屋根の形状があります。一般木造建築の屋根の形状には、切妻屋根、寄棟屋根、入母屋屋根等が代表的なものです。
屋根を形づくる骨組みを小屋または小屋組といい、小屋組に垂木および野地板を取り付け、その上に下葺材を張り瓦が葺かれる。野地板の周辺には、瓦の納まりや屋根の化粧のために広小舞、鼻隠し、破風板等が取り付けられます。
さて今回は屋根の形状の一つ『切妻屋根』についてです。
切妻屋根とは
棟を境に左右に二つの長方形斜面を取り付けた形の屋根であり、この面を平(ひら)といい、この勾配を平(ひら)勾配(こうばい)といいます。棟に直角の壁面を妻(つま)といい、平の妻側を螻羽(けらば)と呼びます。
柱芯より破風板までの部分を傍(そば)軒(のき)といい、流れの先端の部分を軒先(のきさき)といいます。

左の図は屋根伏図で、右が屋根の部分名称です。
片流れ屋根、招き屋根、越し屋根、腰折れ屋根等も、切妻系の屋根になります。
切妻屋根の形状は単純な形であり、使用する瓦の種類も他の屋根に比べて少なく、雨仕舞いのし易い屋根と言えます。



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屋根の形状2
寄棟屋根(よせむねやね)
寄棟屋根には流れ面が四面あり台形の部分を平面(ひらめん)、三角の部分を小平面(こひらめん)と呼び、陸棟(ろくむね)の両端に四つの隅棟が会する形の屋根です。
※瓦の施工では、水平の棟を陸棟(ろくむね)または、大棟(おおむね)といいます。

陸棟のない形の屋根を方形屋根(ほうぎょうやね)または、屋根を四注屋根(しちゅうやね)といいます。六角の屋根は六注屋根(ろくちゅうやね)、八角の屋根は八注屋根(はっちゅうやね)といいます。
寺院建築等の方形屋根や六注屋根の頂部には露盤を置き、その上に宝珠を重ねるところから宝形屋根(ほうぎょうやね)ともいわれます。

一般的な「寄棟屋根」・「方形屋根」では、各屋根面の勾配は同じであり、この場合の隅棟は真隅(ますみ)といいますが、上図に示すように隣り合う屋根面の勾配が異なる場合があり、これを振れ隅(ふれずみ)といいます。
上図のA面とB面の屋根勾配は異なり、A面の勾配はB面の勾配より強くなります。
※勾配とは、屋根の傾斜のことです。

寄棟屋根 六注屋根
寄棟屋根には流れ面が四面あり台形の部分を平面(ひらめん)、三角の部分を小平面(こひらめん)と呼び、陸棟(ろくむね)の両端に四つの隅棟が会する形の屋根です。
※瓦の施工では、水平の棟を陸棟(ろくむね)または、大棟(おおむね)といいます。



陸棟のない形の屋根を方形屋根(ほうぎょうやね)または、屋根を四注屋根(しちゅうやね)といいます。六角の屋根は六注屋根(ろくちゅうやね)、八角の屋根は八注屋根(はっちゅうやね)といいます。
寺院建築等の方形屋根や六注屋根の頂部には露盤を置き、その上に宝珠を重ねるところから宝形屋根(ほうぎょうやね)ともいわれます。

一般的な「寄棟屋根」・「方形屋根」では、各屋根面の勾配は同じであり、この場合の隅棟は真隅(ますみ)といいますが、上図に示すように隣り合う屋根面の勾配が異なる場合があり、これを振れ隅(ふれずみ)といいます。
上図のA面とB面の屋根勾配は異なり、A面の勾配はB面の勾配より強くなります。
※勾配とは、屋根の傾斜のことです。


寄棟屋根 六注屋根
屋根の形状3
入母屋屋根(いりもややね)
入母屋屋根は入母屋造りともいわれ、上部が切妻屋根で下部が寄棟屋根を結合したと考えられる形状の屋根で、昔から宮殿・社寺・城郭・武家屋敷などに用いられ、明治以降は一般にも普及しました。
軒部分には隅棟(すみむね)があり、妻側の屋根部分を入母屋といいます。そこに破風板が取り付けられ、この下の流れ部分を妻下(つました)といいます。また、妻下の軒先を妻軒(つまのき)、平の軒先を平軒(ひらのき)といいます。

入母屋の建築意匠そのものは人によって好き嫌いがありますが、起り破風(むくりはふ)や反り破風(そりはふ)にしたり、軒隅を反らせて優雅さや豪華さを持たせたり、妻側の破風の上に箕甲(みのこ)を付けるなどいろいろな意匠を施すことができます。

入母屋造りと破風の位置
入母屋屋根においては、破風板の位置が建物の美観に重要な要素となります。
入母屋屋根の破風の位置は、一般的には妻側軒桁上あたりとされていて、この軒桁上を基準とし、梁間が大きくなれば軒桁より内側に入れ、また、梁間が小さいときは軒桁より外側に出して破風を取り付けます。
※母屋納めの方法として、一般に七・五・三割と呼ばれ、七つ母屋納め、五つ母屋納め、三つ母屋納め、があり屋根全体のバランスを見ながら破風立ての位置が調整されます。
施工例

入母屋屋根は入母屋造りともいわれ、上部が切妻屋根で下部が寄棟屋根を結合したと考えられる形状の屋根で、昔から宮殿・社寺・城郭・武家屋敷などに用いられ、明治以降は一般にも普及しました。
軒部分には隅棟(すみむね)があり、妻側の屋根部分を入母屋といいます。そこに破風板が取り付けられ、この下の流れ部分を妻下(つました)といいます。また、妻下の軒先を妻軒(つまのき)、平の軒先を平軒(ひらのき)といいます。


入母屋の建築意匠そのものは人によって好き嫌いがありますが、起り破風(むくりはふ)や反り破風(そりはふ)にしたり、軒隅を反らせて優雅さや豪華さを持たせたり、妻側の破風の上に箕甲(みのこ)を付けるなどいろいろな意匠を施すことができます。

入母屋造りと破風の位置
入母屋屋根においては、破風板の位置が建物の美観に重要な要素となります。
入母屋屋根の破風の位置は、一般的には妻側軒桁上あたりとされていて、この軒桁上を基準とし、梁間が大きくなれば軒桁より内側に入れ、また、梁間が小さいときは軒桁より外側に出して破風を取り付けます。
※母屋納めの方法として、一般に七・五・三割と呼ばれ、七つ母屋納め、五つ母屋納め、三つ母屋納め、があり屋根全体のバランスを見ながら破風立ての位置が調整されます。
施工例



屋根の勾配
屋根の勾配について
屋根面の傾斜の度合いのことをいい、表示方法には尺貫法表示・分数表示・図形表示・百分率表示等があります。
この図は、図形表示の例
図形表示
屋根の図面の傾斜に合わせた三角形の水平方向に10を、垂直方向に数値を入れ図形にて表示します。
分数表示
底辺10に対し立ち上がりの数値を分数で表し、4/10とか5/10と表示します。
尺貫法(メートル法)表示
底辺1尺に対し立ち上がり数値を寸で表し、4寸勾配とか5寸勾配と表示する。なお、メートル法表示では底辺10cmに対し立ち上がり数値をcmで表し、4cm勾配とか5cm勾配と表示します。
百分率表示
底辺を100とし立ち上がり数値を割り、%で表示します。
土木関係用語として用いられることが多いようです。

4.5寸勾配 5寸勾配 5.5寸勾配
屋根の勾配を角度で表すと、上図のようになります。これは以前柄振り鬼納まり 其の二でも書いておりますが、作図または計算によって求めることができます。
屋根の流れ方向の長さ(傾斜部分)を計算するときは、ピタゴラスの定理を用います。
ピタゴラスの定理
直角三角形の斜線寸法の2乗は、底辺寸法の2乗と立ち上がり寸法の2乗の和と同じであるという定理で、三平方の定理とも言われます。
流れ寸法=√底辺寸法²+立ち上がり寸法²
AC=√AB²+BC²
このピタゴラスの定理を用いて、建物の設計図面より屋根面積を求めて、瓦工事の見積もりを行います。
中学校で学んだ、ピタゴラスの定理が現在も大活躍です。
また、屋根勾配より隅勾配や隅山勾配(笠勾配)を知ることができ、原寸図を描くのに役立ちます。
屋根面の傾斜の度合いのことをいい、表示方法には尺貫法表示・分数表示・図形表示・百分率表示等があります。

図形表示
屋根の図面の傾斜に合わせた三角形の水平方向に10を、垂直方向に数値を入れ図形にて表示します。
分数表示
底辺10に対し立ち上がりの数値を分数で表し、4/10とか5/10と表示します。
尺貫法(メートル法)表示
底辺1尺に対し立ち上がり数値を寸で表し、4寸勾配とか5寸勾配と表示する。なお、メートル法表示では底辺10cmに対し立ち上がり数値をcmで表し、4cm勾配とか5cm勾配と表示します。
百分率表示
底辺を100とし立ち上がり数値を割り、%で表示します。
土木関係用語として用いられることが多いようです。



4.5寸勾配 5寸勾配 5.5寸勾配
屋根の勾配を角度で表すと、上図のようになります。これは以前柄振り鬼納まり 其の二でも書いておりますが、作図または計算によって求めることができます。
屋根の流れ方向の長さ(傾斜部分)を計算するときは、ピタゴラスの定理を用います。
ピタゴラスの定理

直角三角形の斜線寸法の2乗は、底辺寸法の2乗と立ち上がり寸法の2乗の和と同じであるという定理で、三平方の定理とも言われます。
流れ寸法=√底辺寸法²+立ち上がり寸法²
AC=√AB²+BC²
このピタゴラスの定理を用いて、建物の設計図面より屋根面積を求めて、瓦工事の見積もりを行います。
中学校で学んだ、ピタゴラスの定理が現在も大活躍です。
また、屋根勾配より隅勾配や隅山勾配(笠勾配)を知ることができ、原寸図を描くのに役立ちます。
屋根の部分名称1
今日は、屋根の部分名称について書きます。
平部分
平部分には和型の瓦では、桟瓦と呼ばれる瓦を使用します。
桟瓦の種類には、切落桟瓦(きりおとしさんがわら)、面取り桟瓦(めんとりさんがわら)、足深(桟瓦(あしぶかさんがわら)、鎬桟瓦(しのぎさんがわら)、丸桟瓦(まるさんがわら)、蝋燭桟瓦(ろうそくさんがわら)、左桟瓦(ひだりさんがわら)、引掛け桟瓦(ひっかけさんがわら)、輪形雪止瓦(わがたゆきどめがわら)、駒形雪止瓦(こまがたゆきどめがわら)があります。
軒部分
軒先部分に使用する瓦を、軒瓦と呼びます。
軒瓦の種類には、唐草軒瓦(からくさのきがわら)、鎌軒瓦(かまのきがわら)、 一文字軒瓦(いちもんじのきかわら)、万十軒瓦(まんじゅうのきかわら)、石持軒瓦(こくもちのきがわら)、巴付き唐草軒瓦(ともえつきからくさのきかわら)、剣高万十軒瓦(けんだかまんじゅうのきがわら)、剣高巴付き唐草軒瓦(けんだかともえつきからくさのきがわら)、木爪剣巴付き唐草軒瓦軒瓦(もっこけんともえつきからくさのきがわら)等があります。

平部分には和型の瓦では、桟瓦と呼ばれる瓦を使用します。
桟瓦の種類には、切落桟瓦(きりおとしさんがわら)、面取り桟瓦(めんとりさんがわら)、足深(桟瓦(あしぶかさんがわら)、鎬桟瓦(しのぎさんがわら)、丸桟瓦(まるさんがわら)、蝋燭桟瓦(ろうそくさんがわら)、左桟瓦(ひだりさんがわら)、引掛け桟瓦(ひっかけさんがわら)、輪形雪止瓦(わがたゆきどめがわら)、駒形雪止瓦(こまがたゆきどめがわら)があります。

軒先部分に使用する瓦を、軒瓦と呼びます。
軒瓦の種類には、唐草軒瓦(からくさのきがわら)、鎌軒瓦(かまのきがわら)、 一文字軒瓦(いちもんじのきかわら)、万十軒瓦(まんじゅうのきかわら)、石持軒瓦(こくもちのきがわら)、巴付き唐草軒瓦(ともえつきからくさのきかわら)、剣高万十軒瓦(けんだかまんじゅうのきがわら)、剣高巴付き唐草軒瓦(けんだかともえつきからくさのきがわら)、木爪剣巴付き唐草軒瓦軒瓦(もっこけんともえつきからくさのきがわら)等があります。