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架台図描き方手順_01

架台図の描き方手順ですが、まず瓦を描く前に、架台自体の図面展開をやってみたいと思います。
架台図面_01
この架台図の展開で図面展開の基本的な考え方を押さえたいと思います。
瓦にはRがあったり地葺の上に棟が乗るなど架台本体より図面が多少複雑になるので、シンプルな形から入った方が展開の考え方が解り易いと思います。

架台の条件として
屋根勾配を4寸5分勾配
隅先~破風外面までの寸法を1510mm
隅先~壁面までの寸法を745mmとし、伏図を描きました。
架台図面_02

それから、隅先を展開基点として平断面を起こします。
架台図面_03

この時、平断面の基準は瓦座上端となります。
瓦座高さは、48mmとし、野地板厚みは12mm、垂木高さは45mmで作図してます。
架台瓦座 架台図面_04



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架台図描き方手順_02

架台図描き方手順_01のつづきです。

架台図面_05
平断面を描くと瓦座と野地の接点が明確になるので伏図へ瓦座と野地の接点を描き込むことができます。
つづけて、右側面図を展開してみましょう。
伏図展開基点より左方向の任意の位置に展開基準を作ります。この位置は、後で展開する隅側面図を考慮しておくと良いでしょう。
架台図面_01
この伏図左方向の展開基点より垂直線を引き、平断面図の瓦座上端より水平線を引いた交点を右側面図の展開基準とし、瓦座や野地線を描き込みます。垂木上端・下端も平断面図より高さを求め描き込みます。
架台図面_06

右側面図と同様に伏図展開基点より垂直に線を引き、側面図瓦座上端の水平線上に正面図の展開基準をとり正面図を起こします。正面図の野地線は伏図や側面図の壁際の接点及び野地勾配線の交点より求めます。
架台図面_07

架台図描き方手順_03

隅側面図を起こします。

架台図面_08
伏図の隅稜線より垂直に隅側面図を展開

架台図面_09
伏図隅先からの垂直線上の任意の位置に隅側面図展開起点をとり、隅稜線と平行に陸墨(水平線)を引き、

架台図面_10
隅勾配線(3寸1分8厘勾配)を描きます。隅勾配線の引き出し位置は、架台図面_11左側面図の瓦座上端から垂直に下りたせんと野地上端の延長線こ交点までの距離Aを求め、隅側面図へ写し隅勾配線を引く。
架台図面_12
隅勾配は作図により求め勾配計算で確認しておくと良い。4.5勾配計算

架台図面_12-1  架台図面_12-2
この時、隅勾配線と壁際の接点から陸墨までの距離と、左側面図の野地上端線と壁際接点から陸墨までの距離は等しくなる。

隅側面図に瓦座を描き込むために瓦座下端位置、瓦座上端と野地上端の接点を求める。
架台図面_13  架台図面_14
正面図よりそれぞれの位置を伏図へ写し、隅側面図へ展開する。展開した線イ'と隅勾配線の交点が瓦座上端と隅野地上端の接点となり、線ア'と展開起点よりB寸法取った交点が瓦座下端位置となる。
この時、隅側面図において陸墨と瓦座前面のなす角が規矩術では投げ墨と呼ばれる。
架台図面_14-1  架台図面_14-2

架台瓦図_01

架台図描き方手順_03で架台図がここまで描けたので、今回はこの架台図に瓦を描き込んでいきたいと思います。
架台瓦図面_01

まずは、桟瓦の型板を準備します。
架台瓦図面_02左右の桟瓦側面図より共通部分を取り出して流れ断面図を描く型板とします。

基準線を引き葺足寸法で割付をする。
架台瓦図面_03基準線は水平でも平勾配でも良い。
原寸図を描く場合は、トレーシングフィルムに描くと複写する場合に便利です。
私は、美鈴印刷紙工様のMSスーパーフィルム幅1540、長さ100m巻を使用しています。

割付け位置に桟瓦谷最深部の下端を合わせ、
架台瓦図面_04 架台瓦図面_05
2点目の葺足位置と桟瓦谷最深部の上端が合うように型板を回転させる。

同様に葺足位置に桟瓦流れ断面を描き込む。
架台瓦図面_06

桟瓦谷最深部の延長線上に軒瓦の谷最深部を合わせ軒瓦の葺足に狂いが無いように軒瓦を描き込む。
架台瓦図面_07
さらに瓦桟、下地材を描き込めば軒先流れ断面図となる。



架台瓦図_02

あけましておめでとうございますv(^^)
ブログを書き始めて5回目のお正月となりました。
今年は昨年に引き続き架台瓦図を月一回位のペースで書きたいと思います。

まずは、架台瓦図_01で描いた軒先流れ断面図を架台左側面図に合わせやすいように反転させます。
フィルムに描いた図であれば裏返せば良いです。架台瓦図面_08
この流れ断面図の野地ラインと架台図の野地ラインが合うように重ね合わせます。
  架台瓦図面_09 架台瓦図面_10
この時点ではまだ軒瓦の出寸法は定めていません。
この架台瓦図は、軒の出を野地勾配と平行に90㎜としますので、その位置を描き込み架台瓦図面_11

野地勾配と平行に流れ断面図を移動させ軒瓦の出寸法を90㎜の位置に合わせます。
架台瓦図面_12  最後に余分な線を消します。架台瓦図面_13
このように流れ断面図を描くことにより瓦の葺厚や軒瓦桟頭を緊結する為に必要な銅線やビスの長さを知ることができます。
架台瓦図面_14 (この架台瓦図では桟木の厚みを15ミリ下地材の厚みを3mmとしています。)


架台瓦図_03

今回は、架台瓦図_01_02で流れ断面図を描くために使用した桟瓦の型板についてです。

まづ水平断面を描くための、桟瓦の頭、①切込み位置、②葺足位置、桟瓦尻の型板を作るために、①切込み位置、②葺足位置で桟瓦をカットし、それぞれの型を取ります。
瓦カット写真_1 瓦カット図_1

次にカットした桟瓦の②葺足位置を使用して桟裏と葺幅位置が水平になるように下記の図を作成して、谷の最深部と桟の頂点を調べて新たに桟瓦をカットし、桟面、桟頂点、谷最深部、差込面の型を取ります。
瓦カット図_3

瓦カット写真_2 瓦カット図_2

この時、桟瓦頭と①切込み位置、桟瓦尻と②葺足位置を合体させた型板を作っておくと作図するのに便利です。
       桟瓦頭型    桟瓦尻型

この合体させた型板をそれぞれ桟瓦頭、桟瓦尻の型板として作図時に使用します。


架台瓦図_04

瓦の型板を切り取る時の留意点です。
瓦は粘土を焼成して作るため、瓦の表面には少なからず凹凸があります。

桟瓦谷スキャンスキャンした画像(ラスターデータ)

この凹凸を型取りのままに切り出すか、瓦の接点の重要な部分を除き滑らかに修正して切り出すかで描く図面の風情が変わります。凹凸を残すと、柔らかく味のある図面となり凹凸を修正するとシャープな図面になります。

型板の材料として私は、ベニア板、厚紙、塩ビ板等を使用しています。CADで施工図を描く場合は瓦の型をトレーシングフィルムや普通紙に書き取りスキャナーで読み込んでトレースしています。トレーシングフィルムはCADで作ったパーツをプリントして正誤性を確認するのに便利です。CADへの取り込み方として、カットした瓦をカメラで撮影して取り込む方法もありますが、カメラのレンズと撮影距離の関係で被写体に歪みが生じることがありますので注意が必要です。又、CADへ取り込んだ型板のデータ(ラスターデータ)も現物の大きさと異なる事があるのでCAD上で修正が必要です。この修正(寸法合わせ)の為にも型取りした用紙には寸法線を記入しておくと良いでしょう。
PCに取り込んだ瓦の型板データ(ラスターデータ)をCADデータ(ベクターデータ)へ変換するのもトレースする方法と変換ソフトを使う方法があります。慣れないうちは変換ソフトの方が簡単に思えますが、ごみ処理(用紙に付いた汚れや、はみ出した線等もデータ化される)や線が途切れた部分の修正が必要です。どちらの手法で瓦の型板をCADデータ化するにしても1:1縮尺で印刷した時に手描き図面と同じになることが重要です。寸法や角度の精度はCADの方が高いので手描きの時は寸法や角度の精度を上げる努力が必要となります。
この段階でのCADデータは2Dですが、この2Dデータを基に3Dデータへ進化させることも可能です。(ただ今勉強中!)
熨斗3D


架台瓦図_05


架台図に瓦納まりの正面図、伏図を描きます。
架台図面_01  架台瓦図面_15
左側面図は正面図、伏図それぞれに描いておいた方が解り易いです。
まずは、瓦の割付を行います。この架台での瓦割は、隅先、左袖、壁際の納まりを考慮して行いました。
又、瓦割には差し葺時の割付とかぶせ葺きの割付がありますがこの架台ではかぶせ葺きの瓦割を採用しています。
※差し葺は桟瓦を右袖側(屋根の部分名称2の赤丸で囲まれた部分)より葺始め、かぶせ葺では左袖側より葺始めます。差し葺、かぶせ葺のどちらで施工が行われているかは地域性に因るところが大きいようです。

架台瓦図面_16  架台瓦図面_17  架台瓦図面_18

瓦割が決まったら正面図を描いてみます。
架台瓦図面_19
割付け位置と側面図より桟瓦、軒瓦の見え位置を割り出します。
プロフィール

さすらいの絵描き

Author:さすらいの絵描き
  ~伝統の美と匠の心~                 
古来より守り伝えられた瓦の美と技術を守りつつ、現代の建築技術・工法に適した施工を行い、瓦の美と、秘められた知恵を極限まで追求し、日本の自然・文化と共に生きる伝統を伝えます。

画像をクリックしていただくと、大きいサイズで見ることが出来ます。

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